2020年3月21日土曜日

「こころのピアサポートフォーラム2020in北海道」及び 「第8回全国ピアスタッフの集い」”想い集”公開のご案内

「こころのピアサポートフォーラム2020in北海道」及び
「第8回全国ピアスタッフの集い」”想い集”公開のご案内
​​
​ この度は、新型コロナウイルスの影響で「こころのピアサポートフォーラム2020in北海道」及び「第8回全国ピアスタッフの集い」が中止になり、皆さまにお会いできなかったこと、大変残念に思います。私たち、事務局となっている多機能型事業所PEER+design内で、何か皆さまに出来ることはないか話し合いました。基調講演やパネルディスカッションの講師の皆さまに相談し、当日お話しいただく予定であった「想い」をこの場を通して、お伝えさせていただくことになりました。ぜひ、ご一読頂けると幸いです。
こころのピアサポートフォーラム2020 in北海道 実行委員長
一般社団法人北海道ピアサポート協会
 代表理事  矢部 滋也
『基調講演』
ピアサポートを活かして働く
~理想と現実~
『精神保健福祉の現場でピアサポートを活かして働く』
 磯田 重行 氏
(日本ピアスタッフ協会 会長
(リカバリーセンターくるめ 施設長)
 私がピアスタッフとして仕事を始めて18年がたちました。18年前は精神障害者が福祉の現場で支援者として働く存在はとても珍しがられました。それから18年が経ち、今では全国で多くのピアスタッフが精神保健福祉医療分野で活躍できるようになりました。しかしながらピアスタッフの働く職場環境はまだまだ厳しいのが現状です。
 私はピアスタッフの一番の役割は「経験を語る」ことだと思っています。これはどれほど勉強した専門職にもできないことです。「経験を語る」ことが当事者を勇気づけ、希望になる、まさにリカバリーの原点だと思います。ピアサポートを実践することは簡単なことではありません。しかし私たちは「経験を語る」という強みを持っています。この強みをこれからも磨きながら、みなさんが活躍されることを期待しています。
 最後になりましたが、今回のフォーラム・集いが中止になってしまい事務局、実行委員の方々には大変な苦労をかけてしまいました。またいつか北海道で全国ピアスタッフの集いが開催できることを期待しています。
「企業の現場でピアサポートを活かして働く」
 鹿内 清和 氏
(株式会社ゆい 結び役責任者)
(北海道ピアサポート協会 理事)
 今回、私は北海道、札幌市とはどういったところか?という事を人口、病院の数、就労系施設の数、企業の数などをお伝えしてまずは知っていいただこうと思っていました。今回全国から足を運んでいただく予定の方々に地域を知っていただくためです。
 その後、昨年のフォーラムでお話があったように「ピアサポート」は精神疾患だけのものではなく、社会の中でごく当たり前に行われている営みの一つであることを改めて確認したいと思っていました。
ピアサポートは誰でも行っているのに、なぜ特別に語られるのか不思議でなりません。そこでは、様々な「同じ」と「違う」経験が語られます。それは、企業という中であっても起こっています。むしろ、よい企業とはそうした経験が語られ、引き継がれて新しい変革がなされていく企業です。
 ではなぜ、精神疾患を抱えた人々が暮らす場で強くピアサポートが語られるのでしょうか。そこで、ピアサポートが引き出す力は何でしょうか。良い企業を見ているとその中には、安心や安全、そして多様性があります。
 そして、社員同士お互いが対等に話をし、得意なことを活かし、違いを認め尊敬し、企業も個々人も未来に夢や希望を描いて働いています。だからよい企業なのです。そしてこれこそが、ピアサポートが引き出す力のように私には思えます。
 医療福祉の現場でもこうした関係性を大切にした組織づくりをして欲しいと思っています。
座長
 矢部 滋也 氏
(北海道ピアサポート協会 代表理事
 ピアサポートとは?そんなことを考え始めて7年目になりました。ピアサポートはあらゆる所で自然に行われていることでもあり、同じような経験をした者同士がお互いに支え合うことです。
 私たちは主に精神保健福祉分野でこころの生きづらさを抱えている方のピアサポート活動に取り組んできました。私自身は、病気を経験してから精神のピアサポートに出会いました。ピアサポートを職業として自分の経験を生かして働く人の背中を見て、同じ道を目指しました。
 最近では、職業領域のピアサポートはサービス等の中で、①適切な自己開示、②問題解決より共感や理解が大切と感じています。
 これから先、企業の中でもピアサポートを担う人材が活躍できる社会を目指していくことで、多角的な視点により、良い組織作りに繋がっていくと考えます。例えば、新しく入ってくる病気や障がいなどのある方が、職場の中に頼れる存在の一人として、同じような経験をしたピアが働いてることも安心に繋がります。自分の経験が他者に生かされることは相互支援作用が発生します。この先、ピアサポートを活用して働きたいと思う人がいて、雇用したい人がいる。協働を考える人同士がマッチングすることを期待しています。
 これからの多様なピアサポートの未来を担うのはあなた自身です。これからも新たな可能性を一緒に考え、それぞれの地域でピアサポートを実践していきましょう。
『パネルディスカッション』
誰もが働きやすい職場を創るには
①雇用している立場から
 中田 健士 氏
(株式会社MARS・千葉県)
 私が考える誰もが働きやすい職場とは、基本的には人が働きやすい環境や条件は同じだと思っています。ピアサポートフォーラムなので、ピアという言葉を使わせて頂くと、「ピアスタッフも他の専門職も本当に働きやすい環境に大差はなく、ピアスタッフにとって働きやすい環境は、他の専門職にとっても働きやすい環境である」と思っています。その環境とは何かを時系列で説明をすると、“誰しも過去の経験をプラスに活用でき、現在自分がワクワクできる業務があり、将来の自分に期待や希望が持てる職場”ということだと考えます。今の私の会社が誰しもそうなっているとは思っていませんが、理想としてはその様な会社にしてきたいと強く思っています。  
 また、理想論ばかりで申し訳ないですが、一緒に働く仲間が、①日々満足感をもって生活ができているのか、②互いに価値観の違いを受け入れながらも、時には配慮しながらも言うべきことは伝える等、前向きなコミュニケーションが取れているのか、③組織としてはぐれものをつくってはいないか、ということも大切だと感じています。
 そして、その様な環境がある職場をつくるには、まずは経営者が一人ひとりの可能性を信じることが第一歩であると思っていますので、日々いろいろありますが、自分や他者の可能性を信じ、目の前にある業務に対し誠意をもって取り組んでいます。
②ピアスタッフとして働いている立場から
 柴田 悠貴 氏
(居宅介護事業所ピリカポッケ・北海道)
 
 この度、こころのピアサポートフォーラムにお誘い頂きありがとうございます。私が今回話そうと思っていたのは、働きやすい職場について話をしようと思っていました。

 安心、信頼がある。そしてチームが協力、助け合い、一体感、労い合える、受け止め合える、相談し合える、語り合える、個性や強みを活かせることがある事のありがたさでした。
 また、皆さんとお話しできる機会を楽しみに待っています。
③元ピアスタッフの立場から
 上野 康隆
(精神保健福祉士/WRAPファシリテーター・岩手県)
 「誰もが働きやすい職場を創るには?」というテーマで私の想いをお話しいたします。まずお伝えしたいのは、仕事をしていく中で悩みや不安は付きまとうものだということです。問題はその悩みを抱えてしまうこと。ですので、ピアスタッフと雇用主とが十分にコミュニケーションをとれる環境が必要だと思います。私もピアスタッフ時代には自身の不調や悩みがあれば管理者や代表に聴いてもらっていました。個人的には定期的に面談などがあるとよいかと思います。ただ、面談というハード面よりももっと大事なのはピアスタッフと周りの人がお互いに尊重しあうというソフト面かもしれません。
 ピアスタッフになると人によってはパワーを得た感覚に陥ると思います。それは「自分は唯一の存在」という自分への期待感や「他の当事者とは違う」という優越感からくるのでしょう。するとどうなるか。周囲への敬意を忘れてしまいます。それは「ピア」という対等関係からくる良さを存分に活かせないということにつながります。ですので、ピアスタッフになる人は特に周囲を尊重する心が大事になると思います。もちろん周囲がピアスタッフを尊重することも合わせて大事ですが。
 私はピアスタッフを3年勤めましたが、試行錯誤の連続だったと振り返っております。利用者さんの模範にならなきゃ!と肩に力が入っていた時期もありました。でも大事なのは自身に向き合い、周囲を尊重することだと今は考えています。
座長
相川 章子 氏
(聖学院大学・埼玉県)
 座長ですので、中田様、柴田様、上野様のそれぞれのご経験を存分に話していただきつつ、テーマについて深まるディスカッションができればと思っておりました。まさに「ここで、今」のライブの対話のなかから紡ぎ、生み出されることを楽しみにしていました。それはまたいつかの機会にと思います。
 私自身は20年ほど前にピアスタッフと一緒に事業所を立ち上げ、一緒に歩み始め、一緒に働きました。が、「一緒に」と思っていたのは私だけだったのかもしれません。彼は次第に来れなくなってしまいました。この苦い経験から、今、ピアスタッフの研究に導かれています。日米100名のピアスタッフと同僚たちのインタビューから得られた「ピアスタッフとともに働く9つの環境」をご紹介し、皆さんの実践現場と照らしながら、「働きやすい職場を創る」ためにどうしたら良いか、何ができるかを考えられればと思います。
「ピアスタッフとともに働く9つの環境」とは、①採用方法の明確化、②ピアスタッフ複数職場、③役割の明確化、④安定的な仕事量および収入、⑤ピアスタッフの研修システムがある、⑥スーパービジョン体制の整備、⑦利用者の立場の保障、⑧リカバリー志向の組織文化、⑨チーム支援体制の9点です。(詳細は「精神障がいピアサポーター」(中央法規出版2013)をご参照ください。)
以上

2020年3月11日水曜日

【3月中止のお知らせと次回案内】 札幌ピアサポートグループSAPIA(ざっくばらんに話せるオープングループ)

【3月中止のお知らせ】
札幌ピアサポートグループSAPIA(ざっくばらんに話せるオープングループ)

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、3月28日(土)に予定をしていました札幌ピアサポートグループSAPIAを中止することに致しました。楽しみにされていた方、SAPIAを必要としてくれている方もいらっしゃるとは思いますが、ご理解いただきますよう、よろしくお願いいたします。

尚、次回開催日につきましては未定となっております。
事態が終息に向かい、皆様が安心してお越しいただけるようになりましたら、追って次回案内をお伝えいたします。


よろしくお願いいたします。
札幌ピアサポートグループSAPIA 事務局


==============================
~札幌ピアサポートグループSAPIA~
<会場>
多機能型事業所PEER+design(ピアデザイン)
札幌市白石区本郷通12丁目南4番15号土屋ビル2階
(地下鉄東西線 南郷13丁目駅1番出口徒歩30秒)
<参加費>
無料
<定員>
15名
<対象者>
こころの生きづらさを抱えている人など
==============================